アンブシュア、タンギング、訓練の方法等
1、アンブシュアについて、
1、楽器を、当てる前の唇の姿勢、
  上下の唇を、軽く内側に引き、笑うように左右に軽くひいた姿勢をとる。
  この時、上下の唇は、完全に密着し、そして、唾液をもって湿らせる。
  この姿勢で、唇の中心から、空気を吹き出して唇だけでの振動で、音を出す練習をする(バ
ズイング)
  こらは、やった事のない人には、はじめはちょっと困難かも知れませんが、
  練習によって、自然に出来るようになります。
  この時に注意するのは、次の事です。
A、鏡で唇をみて、外側に見える上下の唇の赤い部分が、できるだけ同じ厚さになっている事。
B,この時、上唇は、下唇より厚い人が多いので、下唇の姿勢に注意し、鏡を良く見ること。
C,空気を強く送り出しても、唇の中央の部分が、その空気の圧力で、前にとびださないように
する事。
  これは、唇の付近の筋肉のある程度の、緊張力を、養わなくてはならない。
D,この、唇の振動は、高い音と、低い音を出す事ができる。
  高い振動をさせるときには、上下の唇は接したままで。やや内側を。引き締め空気の圧力
を、
  増さなくてはならない。この時、まえに記した振動部分を中心とした、筋肉の力は、かなり、
  必要となり、低い振動をさせる時に、その力を抜いて唇の自由な振動に任せるわけである。
  この場合唇の外見上の、形は、出来るだけ崩さない。
E,ここで、重要の事は、以上の練習の結果、気が疲れると思うが、高い振動は、上下の唇と
も、
  唇の先端部が、出しやすく。低い振動は、少々内側の部分を用いたほうが出し易いと言う事
が理解されると思う。
  この理由は、唇の先端は、上下とも、その内側の粘膜部分より、皮面が厚く、硬くなっている
から、
  高い振動をなし、内側は柔らかいため先端のように、緊張を要する筋肉の支配が、及ばな
いからだ。
F,硬い部分が、高い振動に適し、柔らかい部分が低い振動に適するのは、金属のように、硬
いもの同士を、
  ぶつけると、高い音を出し、ゴムマリのような、柔らかいもの同士をぶつけると、低い音がす
る事から
  みれば、自明の理である。
G, なお、歯の位置は、この場合高い振動をだすために、唇の先端で振動させる時には、上下
の唇の、裏側に、
 上下揃えて、かならづ位置し、その間隔は開いてはいるが、(空気が上下の歯の間を通過す
るために、)狭まり、
 低い振動を出すために唇の内側を、振動させる時には、その間隔はやや広がる。
H,息の出し方については、深呼吸の場合のように、十分に、胸をはり、腹部を突き出させて空
気を吸い、その空気を、
 唇の中央より、急激でなく、静かに、圧力をかけながら、集中的に、吹き出す。

前に述べた唇の姿勢で、唇だけで、振動音をだす練習及び、その唇の緊張弛緩をもって、高低
の振動音に熟練することは、
マウスピースを、唇に当てる前に必ずしておかなければならない。
それは、唇の筋肉を、強靭にし、一方呼吸法を、訓練できるからだ。
この唇の姿勢で、低い振動でなく、比較的高い振動をさせるときの唇の姿勢を、そのまま、マウ
スピースに当てて
奏するのが、原則だ。

    2、 唇とマウスピースの位置
前に述べた唇の姿勢で、マウスピースに、当てる場合に、その位置は、マウスピースの中心を
通る線に、上下の唇の間の線が、
一致するように、当てる事が、もっとも望ましい。
A,この時、上下の唇の線が、マウスピースの線より下へ来る人もいるが、少々なら、それほど
差し支えないが、
  上へ行くことは、出来るだけ避けないと、熟達するために、余計な労力を要することが多い。
B,この位置は、人によって、唇の上下の厚みの差や、歯並び、歯の長さの差の大小によって、
少々変化することもある。
C,なぜ、原則的に、中央にある事が望ましいかは、上下の唇を、同じように振動させる事が、
音の上下の運動に大変大切な
  役割を、もっているからです。上下の唇の上に、同じように当っていない場合は、多く当たっ
ている方の唇は、マウスピース
  の内側の空間の部分で、緩み、少し当たっている方は、締められ、音の上下の運動の時
の、筋肉の、緊張、弛緩が、上下
  平均に行えず、上下どちらかの唇に負担がかかる。
D,上下の唇は、音をだすために、高低音ともに、平均した振動をすべきです。
  つまり、上下両方の唇をできるだけ同じに振動させて、発音したほうが有利だからです。
E,マウスピースの唇に対する圧力は、この奏法で押し付けずに送った空気が、マウスピース
の中以外に、漏れない程度に
  当てる事。
F,ここで、大切なことは、吹き込む空気の圧力が強くなっても、上下のどちらの唇も、いつで
も、内側に引かれていて、
  決してマウスピースのカップの部分に突き出したり、閉じている上下の唇の間隔の振動して
いる部分が、広がったり、
  しないようにする事で、これは、その部分の筋肉の力を養っておくことが、どうしても必要で
す。(1番C参照)
G,それに関連して、もうひとつ大切なことは、マウスピースの各部分が、まったく平均に唇の各
部に、当てられていることが
  上下の音を、容易に出すために、必要な事です。
H,それは、次のような不利な症状を呈する。
  上の唇へ、強く押し付けられると、低音が、出にくくなる。
I,上下の唇は必ず軽く接触していること。その方が、空気の出てゆく穴を、狭めることが出来
て、音が上下とも安定しやすい。

      3、基礎的な唇の姿勢
現在のトランペット奏者の最大の困難は、一般に、向かって言うと、まず、高音(五線の第1線
の上のGより加線2本上のCまで
の音)を出すこと。また、その近くの音域で、各種のパッセージの演奏の困難。
低音域のおける、音色に濁り、低音域の音の不安定、この他に、幾つもの不安があります。
こららの問題は、唇や、歯の形が、普通の人と、異なった形をしているか、または、まったく唇に
あっていないマウスピース
を使用しているか、と言うのでなければ、ほとんどの場合、唇の姿勢(アンブシュア)が悪いと言
って言いでしよう。
唇の姿勢の悪さからくる悪現象は、このはかにも沢山あります。
これらの、悪現象を、ほとんど同時に、取り去ることができる、唇の姿勢、及び、それを養ってい
くためには、次の方法で
練習する事が大切です。
A,唇の姿勢は、高音を奏するための形をして奏し、低音もその形を出来るだけ崩さずに奏する
こと。これができなければ
  低音より高音に急に跳躍するとき、高音より低音に跳躍するとき、その唇の形がそれぞれ異
なる場合には、
  速やかな跳躍が望めない。
B,唇の内側の柔らかい部分を出した姿勢で、高音を奏することは、大変な唇の緊張を要する
ために、唇に、マウスピースを
  かなり、押し付けて奏さなくてはならない。この種の形の奏者は、疲労が早く、スタッカート
は、歯切れが悪く、
  高低の、音の移動運動能力が、大変落ちるのが、普通です。
C,上下の唇は、完全に接触して、空気を送り出した時に、その空気のために穴が、開いて、空
気が出てくる時に、
  上下の唇を振動させて音がでる。ハーモニカや、オルガンのリードと空気孔との関係と同じ
で、金属製のリードが
  その孔から、著しく曲げられて離れている場合には、そこへ送られてきた空気が、出て行くだ
けでない、リードは
  振動せず、したがって発音しない。
D,上下の唇の間隔をせまくすることは、前述の通りですが、次に奏する場合の大切なことは、
吹奏の観念として、
  唇の中心の、空気の出て行く孔は、出来るだけ小さくする事です。
E,この場合の、歯の位置にかんしては1、Gを参照する。


        4、舌の突き方(ひき方)(タンギング)
   タンギングについては、次の方法を取ることをお勧めする。
A,舌を、突くときは、必ず上歯の先端に舌の先端を位置してから、急激または、静かに、後ろ
に引いて、タンギングをする。
  初歩では、静かに突く。
B,このタンギングは、あくまでも前述の唇の姿勢で、音を出す訓練のためのもので、ほかの奏
法では、適用できない。
C,この唇で訓練する場合の、タンギングは、中間音域(5線の中の音域)では、舌端は、上歯
の先端に触れ、高音域では
  それより内側にタンギングし、低音域ではそれよりも内側にタンギングし、低音域だは、それ
より舌端は、前にでてタンギンぐ
  される。
D,Cの項の、タンギングは、上達するに従い高低音域とも大体、上歯の先端のいくらか後方
に、タンギングする様になり
  そして、きれいなタンギングができるようになる。

        5、訓練の方法と順序
前述の、1を、この要領をもって、吹奏の練習に入るわけですが、最初の過程が終わるまでは、
次の事項に注意してください。
A,3、Dの要領で、唇の中央の小さい1点から、音をだすつもりで、奏する様に心がけること。
B,5線の中の音は、低い方へ行っても、唇を、緩めたり空気の出て行く穴を、広げることなく音
を出すこと。
C,低音域へは、マウスピースの外側へ空気が、漏れない程度にマウスピースの唇に対する圧
力(押し付け)を抜いていく。
  5線の中でも、唇が極度に締め付けられている時は、低音域は、拭き難い場合があるが、こ
れは1定の締め方をして、
  唇の中央の穴を、出来るだけ変えないで、5線の音域だけは、楽に吹けるような、奏法を、
会得できるまで、自分の唇を
  訓練してやる。
D,歯については、上下正しく向き合い、その間隔は、高い音域では、狭まり、低い音域では、
広がる。
E,この唇で、音を出す練習は、初期のうちは、5線より下の音は奏してはならない、また、mf以
上の音量を、奏してはならない。
  また強いアクセントを、音の頭に、つけて奏してはならない。
F、全音符は、勿論 ほかのすべての音符は、テヌート奏法をもって奏し、音を終わりまで、よく
保ち、音の終わりが、
  消えそうになったり、減衰したりしてはならない。
  音が震えたり、音色が変化したりしないようにする。



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